日本スウェーデン文学協会Society of Swedish Literature in Japan
ノーベル文学賞の研究を通して見えてきたスウェーデン社会の先進的な取り組み
Advanced initiatives in swedish society revealed through our research & analysis of Nobel Prize in Literature
私がライフワークとして研究と分析を続けているノーベル文学賞、そしてその創設者のアルフレッド・ノーベルが同賞の開催実現へ込めた想いは、 いまやスウェーデン文化の真髄と言っても過言ではないでしょう。 なぜなら、21世紀現在、世界から注目されているスウェーデン社会の「平等」への取り組みは、 今から一世紀以上前にアルフレッド・ノーベルがノーベル賞創設に向けて構想していた考えと通づるものがあるからです。 そして、これはきっと我々日本の社会にも参考になる点が多いはずです。
昨今、日本では「女性の社会進出」を望む声がますます高まっていますが、 ここ日本では、まだまだ女性が男性と対等の立場で働くには難しい社会だなと感じます。 (実際に私がこれまでに働いてきた職場でも、このことを実感する場面は多かったです。)
ここで、ジェンダー平等の先進国としてよく名前のあがるスウェーデン社会に目を向けてみますと、 50%に迫る女性議員比率、差別禁止法による職場における男女平等の推進など、 日本の社会とは大きく異なる取り組みが、既に実行されています。
もちろん、全てが賞賛できるようなことはなく、中には失敗しているなと思わせる部分もありますし、 スウェーデンの社会でうまく機能していることを、単純に日本の社会にスライドして適用できるとも思いません。
しかし、スウェーデンご出身の方とお話をすると、もはや意識レベルで当たり前のように 「平等」が尊重される世の中にスウェーデンの社会がなっているのだなと感じざるを得ない瞬間に度々直面するのです。
それは、「人種にとらわれない賞」を創造し、 (遺言という間接的な方法ではありますが)開催を実現させたアルフレッド・ノーベルのような人物を、 今から100年以上前に輩出できていることからも充分に裏付けられているように思います。
今でこそ当たり前のように「差別や偏見のない社会を」などと謳われる世の中ですが、 今よりもはるかに差別や偏見の強かった一世紀以上も前に、 このような理念の(しかも世界規模の)賞のアイデアが、遺書という形で開陳されたとき、 当時の人々はなかなか理解が追いつかなかったはずです。 アルフレッド・ノーベルの先見性は今こそもっと強調されて良いと思うのです。
当サイトを訪れてくださるような、 スウェーデンに興味がある日本の方や、日本に興味のあるスウェーデンの方には当たり前のようなことでも、 普段スウェーデンに触れる機会の少ない大多数の人達からしてみたら、 こういった平等への取り組みの情報は 「え、そうだったの?」 「もっと早く知りたかった!」 という目から鱗の話ではないかと思います。 どのようなきっかけであれ、知ったことによって 今まで意識していなかった事柄へのアンテナが立つようになるはずです。
一人でも多くの人に、スウェーデン社会の平等への取り組み、その礎としてのアルフレッド・ノーベルの先見性を、 研究分析を通してご紹介し続けることによって、日本とスウェーデンとの文化の違いを知っていただきたく考えています。